いまの施策のおさらい ~「第4次清瀬市長期総合計画」編~

さて、先日の続きです。

『いまの施策のおさらい ~「清瀬市まち・ひと・しごと・創生総合戦略」編~』

として先にご紹介したものは、実は、

”清瀬市長期総合計画や各種の個別計画等との整合を図りながら、今後5年間の取り組みについてまとめたもの”

でした(pdfの1頁目)。

清瀬市長期総合計画が最上位計画であるのに対し、短期の「早急に対応するべき優先度の高い施策を位置づける」ものがあの「創生総合戦略」であるという建て付けでした。ということで、今回は、この「長期総合計画」を取り上げたいと思います。これです。

第4次清瀬市長期総合計画 基本構想(平成28~37年度)

このページに「位置付け」が書かれているので、引用してみます。

“清瀬市におけるまちづくりの最上位に位置づけられる計画です。
行政が実施する内容だけを描くのではなく、地域全体で共有できるよう、役割分担を明示しながら市がめざすべき将来像をみんなで実現するための計画です。”

市民が主体となり民主的に市政を実現してゆこうとする姿勢が伺え、好感が持てます。
さて、肝腎の中身ですが、当然、先の「創生総合戦略」の内容と相反するものではありません。
ただ、では方向性が同じものかと聞かれると、単純にそうだとも言い難い気がします。

「長期総合計画」は、各種の人口増加施策に加え、高齢者の支援、医療体制の整備、農業の振興、など総花的な政策が掲げられています。

 

  • 将来像1 安全でうるおいのある暮らしができるまち(「暮らし」の分野)

施策111 防災体制の充実・強化
施策112 防犯体制の充実・強化
施策113 暮らしの相談体制の充実
施策121 市民活動の支援
施策122 生涯学習活動の支援
施策123 文化・芸術・スポーツ活動の支援
施策124 郷土文化の保全・継承
施策131 人権尊重・平和の推進
施策132 男女平等社会の推進

 

  • 将来像2 健幸でともに支え合うまち(「支え合い」の分野)

施策211 高齢者の支援
施策212 障害者・障害児の支援
施策213 生活の安定の確保及び自立・就労支援
施策214 社会保険の安定的運営
施策221 健幸づくりの支援
施策222 医療体制の整備

  • 将来像3 子どもたちを健やかに育むまち(「人づくり」の分野)

施策311 母子の健康づくりの支援
施策312 子育ての支援
施策321 「生きる力」「考える力」を育む学校教育
施策322 地域連携による学校教育
施策331 青少年の健全育成
施策332 誕生から就労に至るまでの総合的な相談体制の整備

 

  • 将来像4 豊かな自然と調和した住みやすく活気あるまち(「基盤づくり」の分野)

施策411 適切な土地利用の推進と住環境の整備
施策412 道路ネットワークと交通環境の整備
施策413 汚水・雨水の処理
施策414 公園の整備
施策421 自然環境の保全
施策422 ごみ減量化・再資源化の推進
施策423 生活環境の保全
施策431 農業の振興
施策432 商工業の振興

 

  • 将来像5 都市格が高いまち(「しくみづくり」の分野)

施策511 地域コミュニティの活性化
施策512 協働によるまちづくりの推進
施策513 行政情報の積極的な公開・共有
施策521 職員の育成強化
施策522 組織の強化と業務変革の推進
施策531 持続可能な財政運営
施策532 長期的視点に立った公共施設等の維持・活用
施策533 広域行政
施策541 経営資源を戦略的に配分

 

対するに「創生総合戦略」のほうでは、目標が、良くも悪くも「定住人口の増加」すなわち、

”「20代後半から30代の子育て世代が清瀬に暮らし続け、結婚・出産・子育ての希望が叶えられるまちづくり」を目指すべき将来の方向として位置づけること”

に絞られている感があります。
政策は、いろんなものを掲げれば良いというものではなく、何としてもこれだけは達成しなければ、という目標を持つことが大切だと思います。
その意味で、明確な目標を設定した「創生総合戦略」は評価できます。ただし、目標が片寄りすぎると他が疎かになる懸念もあります。
兼ね合いが難しいところですが、まさにその点は市民がなにを望んでいるか、それを上手く共有化・可視化させ羅針盤とすることによって舵取りを行えるのが理想と言えます。

 

さて、現状の政策については、ここまでです。次回以降は、理想の政策について考えてゆきたいと思います。

これからの清瀬市の農業を考える

  • はじめに

阿部さんの呼びかけで、清瀬の農業問題について考えよう、ということになり、10月31日(水)13時半から2時間ほど、小寺農園の事務室にてこの問題に興味のある人が集まり、話し合いが行われました。本記事はその報告です。

このような集まりは初めてのため、とりあえず、懇談会、意見交換会というレベルで始まりました。参加者は9名。

まず、阿部さんのほうから、今回の集まりの趣旨が語られました。
そして、参加者9名の自己紹介(参加者がすべて農業に詳しいわけではないことが分かりました)のあと、本題である「これからの清瀬の農業」について、現状の問題点と思われる点を主に小寺さんに語って戴きつつ、各自、意見を出し合いました。
以下は、話題となった主なテーマとその内容です。

なお、話し合いの中で参照した主な資料は、以下のサイトにも掲載されている「第3次 清瀬市農業振興計画」です。

第3次 清瀬市農業振興計画(清瀬市のHP)

 

  • 農業に対する危機感

食料自給率がどんどん減っている。現在は38%にまで落ち込んでいる。

食料自給率とは(農林水産省のHPより)

”先進国と比べると、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています。”

世界の食料需給見通しを見ても、日本では「人口の減少が見込まれる中、需要は減少するも、輸入超過構造は継続。」と予測されている。

世界の食料需給見通し(農林水産省のHP)

2050年における世界の食料需給見通しのポイント(PDF:116KB)

TPPの問題もそうだが、農業問題には日本の食の安全、食文化を守るという重要な意義もある。

農地および農家の数は大変な勢いで減っており、農業を行う環境が悪くなる一方だという現状。
固定資産税が農地と宅地とでは丸で違ってくるが、いったん宅地として扱われると農地に戻すのは(特に清瀬市においては)難しい。
宅地化の方向へというのが国の方針だったが、近年は環境緑化や、食育的な観点、また、災害時の避難場所等としても農地が見直されている。
また、東京都のほうでも、都市農業の振興プランを掲げている。

平成28年5月13日 農林水産省 「都市農業振興基本計画」の策定について

東京都産業労働局 平成29年5月策定 東京農業振興プラン

2017年05月29日 東京都 産業労働局 「東京農業振興プラン」~次代に向けた新たなステップ~を策定しました

清瀬市としても、どのようにすれば生産緑地を活かすことができるか、考えたい。

 

  • 農家のモチベーション

昔は清瀬の駅前などに3つも市場があった。いまは販路に乏しい。

道の駅(のような大きな規模の直販所)が欲しい。「良いものを作ればそこへ持ってゆき売ることができる」という意欲につながる。

問題点:清瀬市の農産物だけではブランクが生まれ、売り物が無いという季節も出てくる懸念あり。また、市場は通年で開けなければ、折角の人の流れも途絶えてしまう。
解決案:清瀬市だけですべてを賄おうという考えに拘らず、近隣の市とも連携してゆければ良いのでは?

問題点:人を引き付ける魅力が無ければ成功しない。
解決案:農作物だけではなく、その他の清瀬の特産物や清瀬にある各種ショップなども巻き込む必要がありそう。

小さな農家が集まることで有効に機能し、より魅力的なものを生み出せるようになるためのマスタープランを作ることも大事。

人・農地プラン(地域農業マスタープラン)について(農林水産省のHP)

 

  • 農業を生業とすることの難しさ

農家として食べてゆけなくなった原因は?
農作物の売値が安くなった点が大きい。
食生活が豊かになった反面、食にお金をかける比重が減った。
また、安い農作物が海外から輸入できるようになった。生鮮食料品が、新鮮なまま輸送できる技術の発展も要因としてある。

後継者が居ないという問題に加え、相続税のため遺産相続時に農地をそのまま維持し難いという問題もある。
市政で解決できる問題(生産緑地地区指定基準など)と、国レベルでなければ解決できない問題(税制など)がある。

清瀬市生産緑地地区指定基準(清瀬市のHP)

(参考記事)生産緑地の指定解除をめぐる「2022年問題」はどうなるのか?

 

  • 清瀬市に固有の問題

(東村山市など他の市と比べ)清瀬市はスタンスとしてあまり農業に重心を置いていないようだ。
農業体験に対する市報の形式的で淡白な扱いひとつとってもそれを感じる。

農家を守ることは、清瀬の緑や自然環境を守ることに繋がる。

 

  • 懇談会参加者の感想

・勉強になりました。
知らない事ばかりでした。
地方行政の出来ること、出来ない事など、地元の農家の方だけの課題にしないで全ての住民のみなさんと一緒になって、緑豊かで安全・安心・新鮮を旗印に清瀬市に要請していけば、清瀬市側も動きやすいのではないでしょうか!
その為に何ができるか皆さんと一緒に考え行動していきたいと思います。

・農業新時代とかで、新しい技術、新しい経営、新しい流通などの情報はテレビ報道などで見ていましたが、都市農業の実態と行政の施策とのギャップを垣間みて、課題の大きさを感じました。
都市農業は農業者だけの問題ではないということをつくづく感じます。
部分的な対症療法を続けても未来はない、と、えらそうなことをいうようですが、それが実感です。

 

  • 最後に

農業問題については、引き続き集まる機会を設けようということで、第二回を11月中に行う予定となりました。
聞くところによると、小寺さんの家は室町時代から続く農家であり、現当主の小寺さんで14代目だそうです。
今回の集まりは、清瀬の農家がすこしでも良くなるように、ということで小寺さんと阿部さんが話をする中で出てきたプランとのことでした。