これからの清瀬市の農業を考える


  • はじめに

阿部さんの呼びかけで、清瀬の農業問題について考えよう、ということになり、10月31日(水)13時半から2時間ほど、小寺農園の事務室にてこの問題に興味のある人が集まり、話し合いが行われました。本記事はその報告です。

このような集まりは初めてのため、とりあえず、懇談会、意見交換会というレベルで始まりました。参加者は9名。

まず、阿部さんのほうから、今回の集まりの趣旨が語られました。
そして、参加者9名の自己紹介(参加者がすべて農業に詳しいわけではないことが分かりました)のあと、本題である「これからの清瀬の農業」について、現状の問題点と思われる点を主に小寺さんに語って戴きつつ、各自、意見を出し合いました。
以下は、話題となった主なテーマとその内容です。

なお、話し合いの中で参照した主な資料は、以下のサイトにも掲載されている「第3次 清瀬市農業振興計画」です。

第3次 清瀬市農業振興計画(清瀬市のHP)

 

  • 農業に対する危機感

食料自給率がどんどん減っている。現在は38%にまで落ち込んでいる。

食料自給率とは(農林水産省のHPより)

”先進国と比べると、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています。”

世界の食料需給見通しを見ても、日本では「人口の減少が見込まれる中、需要は減少するも、輸入超過構造は継続。」と予測されている。

世界の食料需給見通し(農林水産省のHP)

2050年における世界の食料需給見通しのポイント(PDF:116KB)

TPPの問題もそうだが、農業問題には日本の食の安全、食文化を守るという重要な意義もある。

農地および農家の数は大変な勢いで減っており、農業を行う環境が悪くなる一方だという現状。
固定資産税が農地と宅地とでは丸で違ってくるが、いったん宅地として扱われると農地に戻すのは(特に清瀬市においては)難しい。
宅地化の方向へというのが国の方針だったが、近年は環境緑化や、食育的な観点、また、災害時の避難場所等としても農地が見直されている。
また、東京都のほうでも、都市農業の振興プランを掲げている。

平成28年5月13日 農林水産省 「都市農業振興基本計画」の策定について

東京都産業労働局 平成29年5月策定 東京農業振興プラン

2017年05月29日 東京都 産業労働局 「東京農業振興プラン」~次代に向けた新たなステップ~を策定しました

清瀬市としても、どのようにすれば生産緑地を活かすことができるか、考えたい。

 

  • 農家のモチベーション

昔は清瀬の駅前などに3つも市場があった。いまは販路に乏しい。

道の駅(のような大きな規模の直販所)が欲しい。「良いものを作ればそこへ持ってゆき売ることができる」という意欲につながる。

問題点:清瀬市の農産物だけではブランクが生まれ、売り物が無いという季節も出てくる懸念あり。また、市場は通年で開けなければ、折角の人の流れも途絶えてしまう。
解決案:清瀬市だけですべてを賄おうという考えに拘らず、近隣の市とも連携してゆければ良いのでは?

問題点:人を引き付ける魅力が無ければ成功しない。
解決案:農作物だけではなく、その他の清瀬の特産物や清瀬にある各種ショップなども巻き込む必要がありそう。

小さな農家が集まることで有効に機能し、より魅力的なものを生み出せるようになるためのマスタープランを作ることも大事。

人・農地プラン(地域農業マスタープラン)について(農林水産省のHP)

 

  • 農業を生業とすることの難しさ

農家として食べてゆけなくなった原因は?
農作物の売値が安くなった点が大きい。
食生活が豊かになった反面、食にお金をかける比重が減った。
また、安い農作物が海外から輸入できるようになった。生鮮食料品が、新鮮なまま輸送できる技術の発展も要因としてある。

後継者が居ないという問題に加え、相続税のため遺産相続時に農地をそのまま維持し難いという問題もある。
市政で解決できる問題(生産緑地地区指定基準など)と、国レベルでなければ解決できない問題(税制など)がある。

清瀬市生産緑地地区指定基準(清瀬市のHP)

(参考記事)生産緑地の指定解除をめぐる「2022年問題」はどうなるのか?

 

  • 清瀬市に固有の問題

(東村山市など他の市と比べ)清瀬市はスタンスとしてあまり農業に重心を置いていないようだ。
農業体験に対する市報の形式的で淡白な扱いひとつとってもそれを感じる。

農家を守ることは、清瀬の緑や自然環境を守ることに繋がる。

 

  • 懇談会参加者の感想

・勉強になりました。
知らない事ばかりでした。
地方行政の出来ること、出来ない事など、地元の農家の方だけの課題にしないで全ての住民のみなさんと一緒になって、緑豊かで安全・安心・新鮮を旗印に清瀬市に要請していけば、清瀬市側も動きやすいのではないでしょうか!
その為に何ができるか皆さんと一緒に考え行動していきたいと思います。

・農業新時代とかで、新しい技術、新しい経営、新しい流通などの情報はテレビ報道などで見ていましたが、都市農業の実態と行政の施策とのギャップを垣間みて、課題の大きさを感じました。
都市農業は農業者だけの問題ではないということをつくづく感じます。
部分的な対症療法を続けても未来はない、と、えらそうなことをいうようですが、それが実感です。

 

  • 最後に

農業問題については、引き続き集まる機会を設けようということで、第二回を11月中に行う予定となりました。
聞くところによると、小寺さんの家は室町時代から続く農家であり、現当主の小寺さんで14代目だそうです。
今回の集まりは、清瀬の農家がすこしでも良くなるように、ということで小寺さんと阿部さんが話をする中で出てきたプランとのことでした。

「これからの清瀬市の農業を考える」への1件のフィードバック

  1. 清瀬の農業を考える懇談会について、たくさんの資料を交えてまとめていただき、ありがとうございます。懇談の場では捉えられなかったことが分かり、頭が整理されました。清瀬市も、東京都もなかなか良い計画を持っているようですが、これを実際に進めていくには、何が必要か?この懇談会がそのスタートであったのだと思います。さて、次は・・・

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