『来るべき民主主義』のこと

先日の記事で軽く紹介した國分功一郎氏の『来るべき民主主義』のことを、すこし書き足してみたいと思います。

本書を、ちょーざっくり要約すると…

著者の國分氏は、数年前、ちょっとしたキッカケで小平市都道328号線に関する問題を知り、道路工事で大きく損なわれてしまう雑木林を守ろう、との目的に賛同し、運動を支援します。
運動はその成果により、ようやく住民投票にまで漕ぎつけますが、市側から不当とも思われる成立要件を付けられ、投票結果さえ知ることができないままに終わります…。
哲学者である著者は、この経験を踏まえ、「民主主義」について考察し、以下の発想を得るに至ります。

“行政が住民の意思を完全に無視して事を進められる政治体制が、どうして「民主主義」と呼ばれているのか?”
“立法府が統治に関して決定を下しているというのは建前に過ぎず、実際には行政機関こそが決定を下している。”
“住民による新しい政治運動の方式が創造されねばならない。”
“立法権だけでなく、行政権にも民衆がオフィシャルに関われる制度を整えていくこと。”
“主権者である民衆が政治に関わるための制度も多元的にすればいい。”
“そうすれば、近代の政治哲学の誤りを少しずつ是正していくことができる。”
“自治体には条例によって住民投票制度を整えていただきたい。”
“民主主義と呼ぶに足る民主主義は実現されていない。だから民主主義が目指されねばならない。”
“住民投票制度のような強化パーツが増えていけば、社会はより民主的になっていくだろう。”

如何でしょうか? 概念理念としての「民主主義」は不可能だけれど、この社会に暮らすみんなが主体的に、つねに身近な感覚に立脚しつつ「民主的」であろうとし続けることで、自分たちの住む環境を少しずつなりとも良くしてゆけるだろう、というメッセージを私は本書から受け取りました。

お薦めです。来るべき民主主義。

なお、本書に出てくる「実施必至型住民投票条例」というものについてはこちらの「[国民投票/住民投票]情報室」に、分かり易く書かれています。

この清瀬市にも、住民の声を行政に届けやすくするこの実施必至型住民投票条例が出来るといいのになあ、って思います。

もちろん、清瀬市には既に
「まちづくり基本条例」という素晴らしい条例があります。けれども、「強化パーツ」は多いほうが良いですよね!

ところで、この「まちづくり基本条例」の第6条には、以下のようにあります。

第6条 市は、市民の知る権利を保障し、必要な情報を速やかに提供できる体制の充実に努めなければならない。
2 市は、市が保有する行政情報を、積極的に公開しなければならない。

この条文に基づき清瀬市も、少しでも早く市議会のインターネットによる公開・中継を進めてほしいものです。

タウンミーテイングのお知らせ

『「みんなが主役」市民の会  -夢をカタチにー』

清瀬市の人々に私たちの会を知らせたいので
地域の市民センターあちこちでタウンミーテイングを開きます!

ゲストに池田いづみさんを迎え楽しいひと時を過ごしながら
これからの清瀬の市政をご一緒に考えてみませんか。
どの会場でもご都合いいところへお出かけください。
池田いづみさん
清瀬市男女共同参画センターで長く活躍してこられた方です。

1月26日(土)14時~16時 下宿市民センター 第2会議室
清水都雨さんの手品、歌、ワークショップなど

2月16日(土)14時~16時 野塩市民センタ― 第1集会室
ひょうたん笛他、素敵な音色をお楽しみください

2月17日(日)14時~16時 アミュー講座室1
清瀬の農業について学習

2月24日(日)14時~16時 竹丘市民センター第2会議室
琉球舞踊 植竹しげ子さん、沖縄への思いを込めて

「市民ひとりひとりが参画する」って?

昨日の懇談会に関連して。
「市民ひとりひとりが参画する」と言われても、具体的によく分かんない、というご意見がありました。
今日はこのことについて、考えてみたいと思います。

これは別の市の話ですが、ちょうど分かり易い例だと思うので、昨年の4月に兵庫県の西宮市で実施された市長選挙を取りあげてみます。
発端は、前の西宮市長が新聞記者に暴言を吐き辞職したことに始まります。急きょ市長選挙となり、6人の新人が立候補しました。
接戦の末、石井登志郎氏が他の5人の候補を破って初当選しました。
石井さん、そして他の5人の候補者はいったいどのようなことを訴えたのでしょうか?

幸い、西宮青年会議所が主催した公開討論会を録画で見ることができます。

2018年4月3日、西宮市長選挙立候補予定者 公開討論会

長い動画なので、当選した石井さんに絞ってクローズアップしてみると、たとえば、

「誰かを選ぶ民主主義から、365日、市民の声が届くかたちに私が変える!…西宮から民主主義を再生させる!」

と訴えているこの箇所は、なかなかグッとくるものを持っているのではないでしょうか。

市長を誰それに任せる、とか、委ねる、というのではなく、市民のみんなが考える、みんなが実行する、というかたちを模索してみる手もあるのでは?

小平市に住む哲学者の國分功一郎氏が、ご自身の著書『来るべき民主主義』で、こんなことを書かれています。

『 同僚の教員にスウェーデンで子育てをしていた方がいる。その方がある時こんなことを言っていた。
スウェーデンで子育てをしていた時、子どもたちは、保育園でも学校でも、どこでも自分たちの身のまわりのことを自分たちで決めるように求められていた。自分たちで自分たちのまわりのことを決める。だからこそ、それに対して責任をもつ。自分たちの身のまわりのことすら決められなくて、どうして「社会を変える」などと想像できるだろうか?
全くその通りだと思う。だからこそ、街づくりや地域づくりへの住民参加、そしてそれを求める住民運動が大切なのだ。自分たちの地域のことにも関心がもてなければ、どうして「社会を変える」などと思えるだろう。
日本の社会も少しずつ変わってきている。そして社会は少しずつしか変わらない。不安があるのは当たり前で、住民参加を希望していこう。』

少子高齢化。財政再建。原発の再稼働問題。沖縄米軍基地の在り方と北方領土の問題…等々。(外交と軍事の問題は大和田通信所を持つ清瀬市にとっても他人事ではありません。大和田通信所についてはこちらを参照ください)

いまや地方も国も問題山積です。が、逆から見ると、解決すべきことが沢山あって、とっても遣り甲斐がある、とも言えます。
また、いままで私たちが漠然と民主主義だと思っていたものは、実は真っ赤な偽物だったのかもしれません。本物は違うところに在るのかも。
試しに、確かめてみませんか? 「みんなで決める、みんながつくる、みんなが主役になる」そんな清瀬市を、実現できるか、否か。

市政についての懇談会(2019年1月20日)

2019年1月20日、清瀬市の古書店「臨河堂」にて、清瀬の市政や政策について、懇談する場が持たれました。
参加者は「清瀬・くらしと平和の会」「清瀬・憲法を守る会」「共に生きる」「みんなが主役・市民の会」の方々、そして、ふせ由女さん、池田いづみさんです。

話題は、この4月に迫った統一地方選挙、清瀬市では市長選と市議会議員選があり、このことについて、です。

これからの選挙(清瀬市ホームページ)

ここではまだ詳しくは述べられませんが、清瀬市をもっと良いまちにしたい、市政を良くしたい、そのためには何が必要かという観点から、まず現時点で「みんなが主役・市民の会」が考えている政策の基本方針、

① 市民ひとりひとりが参画するまちづくり
② 「こども」「いのち」「くらし」を守る

を説明し、それに対し「②はスローガンとしてハッキリしていて良いが、①は曖昧で具体性が無い」など、忌憚ない意見交換が出されました。

今後、開催されるタウンミーティングを通じて、清瀬の政策と未来について、市民どうしの活発な意見交換が予定されています。
その模様は、順次、ここで記事にして公開・情報共有してゆく予定ですので、どうぞ、ご期待ください。

2018年12月1日(土)第2回市政懇談会報告

当日は53名の方のご参加でした。15-6名の方が初参加。チラシを見て足を運んでてくださった方もあり、活発な懇談ができました。詳細な報告を只今作成中です。

チラシ宣伝を駅頭で行いました。(11月23日)お疲れ様。

 

*とりあえずの斉藤のメモを掲載しています。修正作業が済み次第正しいものに差し替えます。

2018年12月1日市政懇談会要旨
挨拶  小林さん  声を一つに心ひとつにオール清瀬で
問題提議
1.社会保障
2.教育
3.子ども  子どもの貧困の連鎖をなんとか断ちたい  貧困と学力は相関関係にある
まず、清瀬市で実践して市政に、それから国政に提案し子育て環境の改善を促したい。
4.都市農業
5.平和と安全 大和田通信基地の性格上、「敵」の攻撃目標になる可能性が大きい。私たち清瀬市民はこの危険な基地のことをもっと知るべきです。詳しくは有原さん作成の添付資料を参照ください。

初参加された方からの発言
a 清瀬の新市庁舎工事についての疑問提案あり
議場が立派すぎる。フラットでシンプルに作り市民に貸し出すことも考えて。
他市でのやり方など研究してみては?

b 清瀬市はデータや文書(歴史、農地改革)の保存方法に問題あり。
都市計画道路の見直しが必要なところがある。無駄な道路はいらない。

c 清瀬の新市庁舎の工事にかかわった体験から提案したい。議場を市民に貸すこ                           とも考えて。東北を2週間かけてみてきた。女川の県民投票も参考にしたい。

d 学芸員として清瀬市が採用した人をポンと外に移動させるなど継続性のない文化事業をやっていると思うので考え直してほしいl。文化的二確かな視点を持っている人を大切に。

e 今日のような集まりはとてもうれしい。井戸端喋り場、助け合いの場と感じるので来年2月まで何もしないのは惜しい定期的に集まりたい。

f 平和祈念展や平和フェスタの紹介。清瀬市の貴重なデータや文書の保存は改善してもらいたい。例えば、出版物などに嘘っぱちな情報を掲載して平気でいることがある。かつて清瀬でも戦争体験があったのにそれをなかったことにしてある・・・なんてことを発見して驚いている。

g 清瀬市の窓口業務二イライラさせられることが時々ある。市民にとってわかり易く効率的なやり方を工夫してもらいたい。

h 今日のような集まりはとても大切。署名活動は大事。市政も国政も両方を視野に入れて行動したい。

今後の取り組み
事務局会議  12月15日(土)10:00ー12:00  
消費生活センター 4F第1会議室
*ご都合つくかたはどなたでも大歓迎です。

 

 

清瀬新市庁舎建て替えについて今一度考えてみよう!

清瀬新市庁舎建て替えについて情報交換会
2018年12月19日(水)10:00 平和労働会館会議室
建築家の天川さんを迎えお話を聞きます。
市民の税金がどのように使われる予定なのか?
新しい庁舎の使い勝手はどんな感じ?
我々市民が知らされていることといないこと!
等、疑問を持ち寄って意見交換会しましょう。
どなたでも、ご参加ください。
お問い合わせ:斉藤 08011687256

いまの施策のおさらい ~「第4次清瀬市長期総合計画」編~

さて、先日の続きです。

『いまの施策のおさらい ~「清瀬市まち・ひと・しごと・創生総合戦略」編~』

として先にご紹介したものは、実は、

”清瀬市長期総合計画や各種の個別計画等との整合を図りながら、今後5年間の取り組みについてまとめたもの”

でした(pdfの1頁目)。

清瀬市長期総合計画が最上位計画であるのに対し、短期の「早急に対応するべき優先度の高い施策を位置づける」ものがあの「創生総合戦略」であるという建て付けでした。ということで、今回は、この「長期総合計画」を取り上げたいと思います。これです。

第4次清瀬市長期総合計画 基本構想(平成28~37年度)

このページに「位置付け」が書かれているので、引用してみます。

“清瀬市におけるまちづくりの最上位に位置づけられる計画です。
行政が実施する内容だけを描くのではなく、地域全体で共有できるよう、役割分担を明示しながら市がめざすべき将来像をみんなで実現するための計画です。”

市民が主体となり民主的に市政を実現してゆこうとする姿勢が伺え、好感が持てます。
さて、肝腎の中身ですが、当然、先の「創生総合戦略」の内容と相反するものではありません。
ただ、では方向性が同じものかと聞かれると、単純にそうだとも言い難い気がします。

「長期総合計画」は、各種の人口増加施策に加え、高齢者の支援、医療体制の整備、農業の振興、など総花的な政策が掲げられています。

 

  • 将来像1 安全でうるおいのある暮らしができるまち(「暮らし」の分野)

施策111 防災体制の充実・強化
施策112 防犯体制の充実・強化
施策113 暮らしの相談体制の充実
施策121 市民活動の支援
施策122 生涯学習活動の支援
施策123 文化・芸術・スポーツ活動の支援
施策124 郷土文化の保全・継承
施策131 人権尊重・平和の推進
施策132 男女平等社会の推進

 

  • 将来像2 健幸でともに支え合うまち(「支え合い」の分野)

施策211 高齢者の支援
施策212 障害者・障害児の支援
施策213 生活の安定の確保及び自立・就労支援
施策214 社会保険の安定的運営
施策221 健幸づくりの支援
施策222 医療体制の整備

  • 将来像3 子どもたちを健やかに育むまち(「人づくり」の分野)

施策311 母子の健康づくりの支援
施策312 子育ての支援
施策321 「生きる力」「考える力」を育む学校教育
施策322 地域連携による学校教育
施策331 青少年の健全育成
施策332 誕生から就労に至るまでの総合的な相談体制の整備

 

  • 将来像4 豊かな自然と調和した住みやすく活気あるまち(「基盤づくり」の分野)

施策411 適切な土地利用の推進と住環境の整備
施策412 道路ネットワークと交通環境の整備
施策413 汚水・雨水の処理
施策414 公園の整備
施策421 自然環境の保全
施策422 ごみ減量化・再資源化の推進
施策423 生活環境の保全
施策431 農業の振興
施策432 商工業の振興

 

  • 将来像5 都市格が高いまち(「しくみづくり」の分野)

施策511 地域コミュニティの活性化
施策512 協働によるまちづくりの推進
施策513 行政情報の積極的な公開・共有
施策521 職員の育成強化
施策522 組織の強化と業務変革の推進
施策531 持続可能な財政運営
施策532 長期的視点に立った公共施設等の維持・活用
施策533 広域行政
施策541 経営資源を戦略的に配分

 

対するに「創生総合戦略」のほうでは、目標が、良くも悪くも「定住人口の増加」すなわち、

”「20代後半から30代の子育て世代が清瀬に暮らし続け、結婚・出産・子育ての希望が叶えられるまちづくり」を目指すべき将来の方向として位置づけること”

に絞られている感があります。
政策は、いろんなものを掲げれば良いというものではなく、何としてもこれだけは達成しなければ、という目標を持つことが大切だと思います。
その意味で、明確な目標を設定した「創生総合戦略」は評価できます。ただし、目標が片寄りすぎると他が疎かになる懸念もあります。
兼ね合いが難しいところですが、まさにその点は市民がなにを望んでいるか、それを上手く共有化・可視化させ羅針盤とすることによって舵取りを行えるのが理想と言えます。

 

さて、現状の政策については、ここまでです。次回以降は、理想の政策について考えてゆきたいと思います。

これからの清瀬市の農業を考える

  • はじめに

阿部さんの呼びかけで、清瀬の農業問題について考えよう、ということになり、10月31日(水)13時半から2時間ほど、小寺農園の事務室にてこの問題に興味のある人が集まり、話し合いが行われました。本記事はその報告です。

このような集まりは初めてのため、とりあえず、懇談会、意見交換会というレベルで始まりました。参加者は9名。

まず、阿部さんのほうから、今回の集まりの趣旨が語られました。
そして、参加者9名の自己紹介(参加者がすべて農業に詳しいわけではないことが分かりました)のあと、本題である「これからの清瀬の農業」について、現状の問題点と思われる点を主に小寺さんに語って戴きつつ、各自、意見を出し合いました。
以下は、話題となった主なテーマとその内容です。

なお、話し合いの中で参照した主な資料は、以下のサイトにも掲載されている「第3次 清瀬市農業振興計画」です。

第3次 清瀬市農業振興計画(清瀬市のHP)

 

  • 農業に対する危機感

食料自給率がどんどん減っている。現在は38%にまで落ち込んでいる。

食料自給率とは(農林水産省のHPより)

”先進国と比べると、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています。”

世界の食料需給見通しを見ても、日本では「人口の減少が見込まれる中、需要は減少するも、輸入超過構造は継続。」と予測されている。

世界の食料需給見通し(農林水産省のHP)

2050年における世界の食料需給見通しのポイント(PDF:116KB)

TPPの問題もそうだが、農業問題には日本の食の安全、食文化を守るという重要な意義もある。

農地および農家の数は大変な勢いで減っており、農業を行う環境が悪くなる一方だという現状。
固定資産税が農地と宅地とでは丸で違ってくるが、いったん宅地として扱われると農地に戻すのは(特に清瀬市においては)難しい。
宅地化の方向へというのが国の方針だったが、近年は環境緑化や、食育的な観点、また、災害時の避難場所等としても農地が見直されている。
また、東京都のほうでも、都市農業の振興プランを掲げている。

平成28年5月13日 農林水産省 「都市農業振興基本計画」の策定について

東京都産業労働局 平成29年5月策定 東京農業振興プラン

2017年05月29日 東京都 産業労働局 「東京農業振興プラン」~次代に向けた新たなステップ~を策定しました

清瀬市としても、どのようにすれば生産緑地を活かすことができるか、考えたい。

 

  • 農家のモチベーション

昔は清瀬の駅前などに3つも市場があった。いまは販路に乏しい。

道の駅(のような大きな規模の直販所)が欲しい。「良いものを作ればそこへ持ってゆき売ることができる」という意欲につながる。

問題点:清瀬市の農産物だけではブランクが生まれ、売り物が無いという季節も出てくる懸念あり。また、市場は通年で開けなければ、折角の人の流れも途絶えてしまう。
解決案:清瀬市だけですべてを賄おうという考えに拘らず、近隣の市とも連携してゆければ良いのでは?

問題点:人を引き付ける魅力が無ければ成功しない。
解決案:農作物だけではなく、その他の清瀬の特産物や清瀬にある各種ショップなども巻き込む必要がありそう。

小さな農家が集まることで有効に機能し、より魅力的なものを生み出せるようになるためのマスタープランを作ることも大事。

人・農地プラン(地域農業マスタープラン)について(農林水産省のHP)

 

  • 農業を生業とすることの難しさ

農家として食べてゆけなくなった原因は?
農作物の売値が安くなった点が大きい。
食生活が豊かになった反面、食にお金をかける比重が減った。
また、安い農作物が海外から輸入できるようになった。生鮮食料品が、新鮮なまま輸送できる技術の発展も要因としてある。

後継者が居ないという問題に加え、相続税のため遺産相続時に農地をそのまま維持し難いという問題もある。
市政で解決できる問題(生産緑地地区指定基準など)と、国レベルでなければ解決できない問題(税制など)がある。

清瀬市生産緑地地区指定基準(清瀬市のHP)

(参考記事)生産緑地の指定解除をめぐる「2022年問題」はどうなるのか?

 

  • 清瀬市に固有の問題

(東村山市など他の市と比べ)清瀬市はスタンスとしてあまり農業に重心を置いていないようだ。
農業体験に対する市報の形式的で淡白な扱いひとつとってもそれを感じる。

農家を守ることは、清瀬の緑や自然環境を守ることに繋がる。

 

  • 懇談会参加者の感想

・勉強になりました。
知らない事ばかりでした。
地方行政の出来ること、出来ない事など、地元の農家の方だけの課題にしないで全ての住民のみなさんと一緒になって、緑豊かで安全・安心・新鮮を旗印に清瀬市に要請していけば、清瀬市側も動きやすいのではないでしょうか!
その為に何ができるか皆さんと一緒に考え行動していきたいと思います。

・農業新時代とかで、新しい技術、新しい経営、新しい流通などの情報はテレビ報道などで見ていましたが、都市農業の実態と行政の施策とのギャップを垣間みて、課題の大きさを感じました。
都市農業は農業者だけの問題ではないということをつくづく感じます。
部分的な対症療法を続けても未来はない、と、えらそうなことをいうようですが、それが実感です。

 

  • 最後に

農業問題については、引き続き集まる機会を設けようということで、第二回を11月中に行う予定となりました。
聞くところによると、小寺さんの家は室町時代から続く農家であり、現当主の小寺さんで14代目だそうです。
今回の集まりは、清瀬の農家がすこしでも良くなるように、ということで小寺さんと阿部さんが話をする中で出てきたプランとのことでした。

いまの施策のおさらい ~「清瀬市まち・ひと・しごと・創生総合戦略」編~

当サイトのサブタイトルにもなっているとおり、当サイトの目的は「清瀬の市政と未来を考える」です。

その目的において、最も注目すべきは清瀬市役所のサイトにある次のページでしょう。

https://www.city.kiyose.lg.jp/s001/030/020/010/031/20160414113130.html

ここには、2016年3月に策定された「清瀬市人口ビジョン」と、今後の施策の方向を示す「清瀬市まち・ひと・しごと・創生総合戦略」が掲載されています。

資料のうち、まずは「清瀬市人口ビジョン」を見てみましょう。

https://www.city.kiyose.lg.jp/s001/030/020/010/031/jinko-vision.pdf

その主要部分と思しき個所を以下に引用します(pdfの29頁目)。

 

前頁までの人口動態等に対する分析結果として、本市は次のような3つの大きな課題を抱えていることが分かりました。

① 自然減の拡大
 本市の自然増減を見ると、平成13年(2001年)では出生数が508人、死亡数が502人でやや自然増となっていましたが、平成26年(2014年)では出生数が484人、死亡数が741人となっており、出生数の減少傾向、死亡数の増加傾向が続いています。
 この傾向は拡大していくことが予想されますが、高齢化の進展により死亡数の増加が見込まれる以上、出生数の増加、あるいは出生率の向上が大きな課題と言えます。

② 低い合計特殊出生率
 平成26年度における本市の合計特殊出生率は1.16であり、近隣自治体と比較して最も低い水準にあります。小平市(1.40)、東久留米市(1.43)、武蔵村山市(1.38)、あきる野市(1.43)と比較するとさらに低さが際立ちます。
 特に20代後半から30代前半の出生率が相対的に低く、この世代の出産の希望を叶えることが課題と言えます。

③ 20代後半から30代の大きな転出傾向
 10代後半に転入超過が起こった後、特に女性において20代後半から30代の子育て世代が転出超過になる傾向にあります。時期的に大学進学のタイミングで本市への転入が生じ、就職や結婚のタイミングで他市への移動が生じている可能性があります。
 そのため、20代後半から30代の子育て世代に該当する女性が住み続けたいと思えるような魅力的なまちづくりを推進することが課題と言えます。

以上の3つの課題を踏まえ、「20代後半から30代の子育て世代が清瀬に暮らし続け、結婚・出産・子育ての希望が叶えられるまちづくり」を目指すべき将来の方向として位置づけることとします。

 

さて、次に、本論部分ともいえる「清瀬市まち・ひと・しごと・創生総合戦略」を見てみましょう。

https://www.city.kiyose.lg.jp/s001/030/020/010/031/sogo-sennryaku.pdf

こちらは、上記の「清瀬市人口ビジョン」に基づき、

 

本市独自の施策展開、個性を明確にすることで定住促進を図り、「人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加速させる」という負のスパイラル(悪循環の連鎖)に陥らないようにするため、国や東京都の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を勘案しながら、人口減少克服と地方創生に取り組むことを総合戦略の目的とする。

 

とあります(pdfの1頁目)。そして、その目的を達成するための、4つの戦略の方向性と展開方針が、示されます。

(1)基本目標Ⅰ.結婚・出産・子育ての希望実現戦略
      ・・・・(pdfの9頁~15頁)
(2)基本目標Ⅱ.働きやすさ・地域活力向上戦略
      ・・・・(pdfの16頁~18頁)

(3)基本目標Ⅲ.まちの魅力向上・発信戦略
      ・・・・(pdfの19頁~21頁)

(4)基本目標Ⅳ.支え合いのある地域づくり戦略
      ・・・・(pdfの22頁~24頁)

詳細は本文を見て戴ければと思いますが、基本目標が4つもあり実現が大変な気もします。実は最も重要視されているのは「定住人口の増加」であり、基本目標Ⅰが戦略の機軸になっていることがページ数からも読み取れます。

ところで、この総合戦略には各項目ごとに重要業績評価指標が示されていて、対象期間は平成27年~31年までの5か年となっています。来年がちょうどその評価の年である点も、注目すべきところかと思います。

(この続きは近日、『いまの施策のおさらい ~「第4次清瀬市長期総合計画」編~』としてアップする予定です。)