9月10日の会議で行われた現状分析を共有します


こんばんは。きよせ市民の会ホームページ担当のHです。

昨日の事務局会議では、出席者(十数名)の間で様々な意見交換が行われ、現在の情勢についても話し合うことが出来ました。
「現状分析」なんて悠長なことをしている場合じゃないでしょ? 2015年安保法案の強行採決から早くも一年が経とうとしていたり、高江ではヘリパッド建設阻止を巡って闘いの最中だというのに?
という見方もあるでしょうか、現状分析をして原因を探れば、どう対処することが有効か、という答えを見出せるやもしれません。

さて、意見交換で出てきたキーワードは次のとおりです。
北朝鮮の核実験。衆議院東京10区の補選。東京都知事選の反省。高江の機動隊員。定時制高校廃止と軍事研究が解禁される大学。原発と経済のこと。日本会議と日本人のメンタリティ。憲法のこと。
けっこうバラバラな話題に見えますが、みんな繋がっています。
(なお、以下は、あくまでも私なりの整理になりますこと、ご留意ください)

【核、原発、国際社会】

東日本大震災のとき、福島第一原発の事故により、危うく東北・関東周辺を含め人が住めない事態になりかねなかった2011年の人々の気持ちは限りなく原発ゼロに近かったはずですが、喉元すぎれば熱さを忘れる習性か、いまや原発推進の流れに様変わりしています。
電気は足りている、でも、経済を立て直すには原発も必要だ、という理屈であったり、あるいは、安全保障の要としていつでも核を保有できるようにしておくには原発を残しておかなければならない、という本音であったり、あるいは、一説にはウランビジネスで巨大な利権(ロスチャイルド系のリオ・ティント・ジンク社)が存在していて止められないのだ、とも言われています。
一番の理由は、判然としません。

国際情勢も同様です。先日の北朝鮮の核実験は、確かに日本にとっても脅威ですが、マスコミは号外を発行したり必要以上に危機感を煽っているように見えます。「北朝鮮は何を考えているか分からん、だから日本も自衛隊を軍隊化するとともに核武装して備える必要があるのだ」という方向へ世論を誘導するかのようです。
が、表向きには北朝鮮を非難するアメリカや中国も、もちろん核を保有しています。小学生には分かり易いそんな矛盾も大人になると分からなくなるようです。
国際社会も、あてにはならない。オバマ大統領も、広島では感動的なスピーチを行いましたが、行動が伴いませんし、例の「死神が空から降りてきた」というレトリックも戴けません。誰が、何のために落としたか、という点を誤魔化すのは良くありません。

私たちの住む清瀬市では、昭和57年に「非核清瀬市宣言」を行っています。

清瀬市ホームページ
http://city.kiyose.lg.jp/080/030/020/index.html

いま一度、この素晴らしい宣言の精神に立ち返り、市民レベルから今できることを模索したいと思うのです。

【安全保障問題、軍事産業、経済】

上述のように、原発は核開発のための技術や材料の保持という側面を持っています。そういう意味で、安全保障問題とも密接に繋がっています。経済も同様です。ここ1年ほどの流れとして、実質上の武器輸出が可能になるとともに、大学での軍事研究も解禁されようとしています。

京都新聞の社説
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160817_4.html

このように、いろんな物事は繋がっているわけですが、安倍政権はある意味、惚れ惚れするくらいそれらを上手く廻しているように見えます。もちろん、悪いほうに、ですが。
なり振り構ってなどいられない、人殺し戦争軍事産業であろうとも、この国の経済を立ち直らせることができれば、と必死なのです。背に腹は代えられない、と。
経済は大切です。しかし、国が破れては元も子もありません。しかも、放射能に汚染されてしまっては、山河すら残らないのです。

ですが、昨今の趨勢を見ると「やはりアメリカに守ってもらわないといけない、そのために沖縄には今後も犠牲になってもらおう」というに留まらず、「日本も自衛のための核保持を!」とさえ言い出すのは時間の問題と思われます。
”軍隊も核も持たず、では、北朝鮮のような「(アメリカ曰く)無頼テロ国家」に、どう対応するつもりだ?”
そこは充分に検討しなければなりませんが、すくなくとも現在のマッチョイズム的な対応では解決にならないことは、世界最強国であるはずのアメリカの9.11以降の現実を見れば明白なのではないでしょうか。

【日本会議と日本人のメンタリティ】

東日本大震災と福島第一原発で疲弊した日本。それゆえ、そこからなんとか抜け出そうと、経済ではアベノミクスというカンフル剤が打たれ続けていますが、正直、覚せい剤と同じで体はもうボロボロの状態にあると思われます。にもかかわらず、テレビでは寧ろ「こんなにすごいぞ日本人」のような興ざめな番組が増えています。

社会が悪化すればするほど「それは何々のせいだ」とする言説に、人々は惑わされます。昔は良かった、たとえばそれは家族制度がしっかりしていたからだ、という「古き良き日本」という幻想をネタに、日本会議等の政治団体は過去の悪癖を復活させようとしています。
それは、あからさまに言えば「女子供は黙ってろ!」という、おっさん的なメンタリティです。実際の「おっさん」にも多いと思いますが、女性の中にも、櫻井や高市、稲田や小池など、この手のメンタリティに溢れる女性が目立ちます。

いったい安倍政権の本質はどこにあるのでしょう。
たとえば、私のこの一文が私の独創ではないように、現政権の偏った復古主義は現政権の独創ではありません。仮に安倍総理が明日誰かと交代しても、悪しき復古主義への回帰は止まらないでしょう。何がそれを駆動しているのか、正しく分析して患部を摘出するしかないのです。難しいことですが。

【憲法改正】

自民党を含め、それらの復古主義的勢力は、どのような憲法改正を狙っているのでしょうか?
当初は第9条だと言われていました。しかし、現時点では、本命は「緊急事態条項」の追加にある、と言われています。これを手に入れられさえすれば、好き勝手できるだろう、と。あるいは、憲法第24条でしょうか? 現在の個人>家族>国家という優先度をひっくり返して、国家>家族>個人、というふうにすれば、昔のように日本は良くなる! と、日本会議系の人々は、本気で信じています。そして、それは残念ながら日本人の従来のメンタリティにも非常に親和的なのです。日本人は本質的に全体主義的な民族だと常々私は感じます。

ですので、これは個人的な意見ですが、ただ単に護憲を唱えても上述の「悪しき復古主義」には勝てません。
憲法改正に対しては、様々な意見があります。たとえば、

・日本は9条を文字通り実行し、その姿勢を国連で訴えるべきだ。(柄谷行人)
「憲法9条」を巡って 意義問い直す 柄谷行人の刺激的な議論
http://www.nishinippon.co.jp/feature/press_comment/article/255647

・国連憲章を基調とした「非戦」を貫くための新しい憲法9条案。(伊勢崎賢治)
伊勢崎賢治氏の考える「10年後の憲法9条」
http://blogos.com/article/179470/?p=2

などです。共通しているのは「条文と現実の乖離が甚だしい現状を何とかしなければ」という認識だと思います。
反対だけしていても、人は動かない。実現可能かつ真に魅力あるストーリーが、いま、必要なのです。

結論は、まだありません。

「9月10日の会議で行われた現状分析を共有します」への3件のフィードバック

  1. とても興味深い考察をありがとうございます!
    ”国のため”と言う人がいますが、”国”とは何なのでしょうか? もし、”国家”としてとらえるのであれば、
    それは概念であり、”国家”という生き物がいる訳ではありません。つまるところ、”国のため”=”国家を運営する一部の人々(多くの場合、政治家)の利益のため”、と言い換えることができるのではないでしょうか?
    もちろん、利己的でない政治家もいますが、そのような政治家は不思議なことに”国のため”とは言わないと思うのです。個人が、より生き易くなるための国家であり、国家が国家として栄えるために個人が一部の人の利益に奉仕する、このようなことを私は望みません。
    一方、”国”を”地域”と捉えた場合、自分の暮らす地域を護りたいと思うことは当然です。
    が、それは軍備という観点ではなく、地域の自然環境、すなわち空気を、水を、自然を、人だけでなく昆虫も含め全ての動植物を護り育てる、ということではないでしょうか?
    Hさんも書いておられますが、原発事故が起きれば暮らせる場所がなくなり、河川や地下水が汚染されれば、飲む水もなくなります。日本という地震・火山国において、原発が安全なのですか? 電力は足りているのに必要なのですか?
    経済は大切です。ですが、本来、循環させるものであり、際限なく金銭的利益を追い求めることではないはずです。
    権力が大好きな人、支配欲の強い人にとっても、権力をふるう場所がなくなり、支配する相手がいなくなるかもしれない、原発はそういうものではないでしょうか?
    少しだけ視点を変えてみたいのですが、今、地球はギリギリのところまで破壊され、異常気象はもはや異常と言えないほど当たり前になり、自然災害は世界の至る所で発生し、ツバルなど温暖化で沈みつつある国もあります。自然には再生能力がありますが、ある臨界点を越えると二度と再生できないそうです。環境破壊がここまで酷い上に、国家間で破壊行為を繰り返す、あるいはその準備をするなど、どう考えても方向が違いすぎます。自然環境をこれ以上壊さない、これこそが本当の安全保障ではないでしょうか?
    軍備増強や軍事研究に費やす予算を、自然エネルギー開発・循環型社会構築に使いたい。そういう政府を作りたい。
    安倍政権はあらゆる点で逆行していると思います。

  2. 齋藤です。
    昨日、義兄が72歳で亡くなりました。食道ガンを克服したもののその途中で併発した
    ヘルペスによる痛みとの闘いが6年間続いていました。いよいよだからと連絡が来て
    一昨日夫と見舞いに行った翌日に逝きました。野鳥をこよなく愛し、サイトを運営し
    愛らしい鳥たちの写真をたくさん残して・・・・・興味のある方は覗いて見てください。
    (と思っていたらサイト、しばらく閉じらているようです、いずれそのうちに・・・)
    で、彼の家の門扉にしっかり「憲法9条守りたい!」とのポスターを見つけて、嬉しかった。
    あまり、主義主張をする人ではなかったので・・・
    でも、日本の現状を危ぶみながら暮らし、出来るところでアピールしてくれていたのですね。
    私たちの活動を理解しつつも声高に叫んだり、行動したりしないけど思いは同じ・・
    の仲間がいることは確かなのですね。
    この日本を良い方向へ・・・義兄の小さな行動が嬉しくてここに記しておきたいと思いました。

  3. 斉藤さんの心暖かい優しい思いやりが伝わってきます。
    私はどちらかと言えば旗色鮮明にしてわめいているにすぎません。
    今度のトランプ当選も地味な義兄さんのような方々が支持したのではないでしょうか

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